C 1度目は20年、原電が無断で資料を書き換えていたことに端を発する。「無断で書き換えた」というと、自らが有利になるように工作したと捉えられがちだが、実際には違うようだ。規制庁から「きちんとした形で更新して最新の形で審査資料として提出するよう」に指示を受け、「最新の形」にするための書き換えだったという。のちに原電への疑いは晴らされ、昨年10月に審査を再開した。
A 地質学会の重鎮である石渡委員は、地質図やその基礎データに強いこだわりがある。原電としては、審査を受けた書類のボーリング柱状図を最新版に変えた。しかし、石渡委員は最も重要な部分を書き換えられたと感じたようで「改ざんだ」と激怒した。
B もちろん、原電に悪意があったわけではないが、メディアは大なり小なり事業者のミスばかりを強調する。そして「資料すらまともにつくれない事業者」を取り締まる「正義の規制委」というイメージが植え付けられてしまう。これでは事業者への不信感は増すばかりだ。本質から離れた部分で混乱し審査が遅れている現状は、規制委にとっても不本意ではないか。
C 活断層の議論でいつも思い出すのが、北海道新聞(2013年4月30日)に掲載された菅直人元首相のインタビュー記事だ。菅氏は「政権が自民党に代わって民主党が目指した脱原発政策は頓挫しましたね」との質問にこう答えた。「トントントンと10基も20基も動くなんてあり得ない。何となれば、原子力安全・保安院を潰して原子力規制委員会をつくったからです。彼らは活断層の話を始めた」。泊や敦賀は10年もの間、この呪縛に苦しめられ続けているわけだ。
国際エネルギー機関(IEA)は10月24日、2023年版の「World Energy Outlook」(WEO)を公開した。今回の主なメッセージは、石油・天然ガス・石炭といった化石燃料の供給量が30年までにピークを迎え減少に転じるというもので、IEAによるこのような見通しは初めてだという。メディア各社も同様の趣旨で内容を伝えており、例えば朝日新聞の同日付の記事は「化石燃料需要、30年までにピーク IEAが予測、再エネが上昇」というタイトルだった。