B さまざまな制度改革が実行に移されているが、失敗であれば迅速に見直す必要があるにもかかわらず、経産官僚が過去の失敗を認めないが故に軌道修正に時間がかかりすぎている感が否めない。例えば、小売り電気事業者や発電事業者が事前に提出した需要量や発電量の計画と、当日の実績を30分単位で一致させる「計画値同時同量」を採用しているが、再エネがこれだけ入ってきたからには「強制プール」を導入した上で「実同時同量」へ移行すべきだ。「計画値同時同量」の「バランシンググループ(BG)」では、コストが無駄にかかる。
需給変動はローカルで調整 求められるマーケット
D 2030~50年のエネルギー社会の長期ビジョンを政治家も官僚も描けておらず、どこを目指すべきかという羅針盤がないのが問題だ。再エネ大量導入やゼロエミッションの実現には、供給側だけではなく需要側の産業構造を変革させなければならないが、そこまで考えが及んでいないのでは。
C メーカーは石炭火力の建設が難しくなり、これから何を売っていけばよいのか、深刻な問題に直面している。個人的には設備を売るよりも、ソリューションビジネスやマーケット運営などにかじを切る必要があると考えている。例えば、これまで自社のエネルギーを賄うためだけに導入していた自家発電源を、調整力のマーケットに出せるようになれば顧客企業の資産価値を上げることに貢献できるのではないか。これを実現するためには、ローカルで調整力を取引する「ローカル・フレキシビリティー・マーケット(LFM)」の創設が前提になる。