【特集2まとめ】家庭用エネルギーの新潮流 価格高騰・需給ひっ迫に挑む
さまざまな危機や課題に直面する日本のエネルギー業界。
エネルギー事業者は家庭用の価格高騰対策として、
節電ポイントや蓄電池、給湯器の利活用などを推進する。
一方、需要開拓にどう取り組むかも重要な課題であり、
エネルギー供給と生活関連サービスの融合が加速中だ。
家庭用エネルギーの課題解決と需要開拓の新潮流を追った。
【レポート】エネルギー危機への対応急ぐ欧州 変貌する家庭用市場の最新事情
【レポート】節電サービス500万世帯へ 家庭の省エネ・脱炭素化リード
【インタビュー】目指すはエネルギー最適利用 ユーザーメリットの追及へ
【レポート】豪雪地帯への太陽光導入 蓄電池併用し光熱費を大幅減
【レポート】初期費用ゼロの太陽光発電 定額料金サービスで導入加速
【レポート】動画配信や医療など新サービス展開 三方良しのトリプルウィン目指す
【レポート】ポイント交換で顧客満足度を向上 ガス機器の購入機会の創出も
【レポート】県内の中小工務店と連携 エネファームでZEH化を推進
【レポート】楽しく続けられる節電を提供 顧客データとAIで営業一新
【トピックス】圧倒的な省エネ性能の給湯器 ZEH住宅への採用進む
【特集1まとめ】異次元の石炭調達 超高値時代の構造変革を読む
昨年来、一般炭市場に大きな異変が起きている。
優良鉱山が限られる原料炭より安価なはずの一般炭価格が
ロシアの軍事侵攻を機に急騰し、両者の価格が逆転したのだ。
中でもアジア向け高品位豪州炭は異次元の400ドル超を記録。
「超高値時代」の様相を見せるが、今後の市場価格の行方はいかに。
そして発電事業を巡ってはどんな事態を覚悟すべきなのか。
政府、業界、有識者などへの取材から課題を読み解く。
(1月23日までの情報を基に取材)
【アウトライン】昨年来の高騰局面を深掘り 石炭市場を襲う地殻変動
【インタビュー】石炭調達・利用政策の展望 いずれは新たな安定状態に
【特集2】節電サービス500万世帯へ 家庭の省エネ・脱炭素化リード
実効性の高い節電サービスとして注目されるSBパワーのエコ電気アプリ。
今後も、消費者の省エネ行動につながるさまざまな機能を追加していく方針だ。
【SBパワー】
ソフトバンク傘下で電力小売り事業を手掛けるSBパワーが、2020年7月に提供を開始した家庭用節電サービス「エコ電気アプリ」。火力発電の燃料費高騰に伴う電気料金の高止まりが社会問題化する中、家計の節約に資するサービスとしてのみならず、消費者の環境意識を醸成するコミュニケーションツールとしても存在感を高めている。
同サービスは、翌日の電力需要予測や市場価格などを踏まえて同社がデマンドレスポンス(DR)を発動し、「節電チャレンジ」としてスマートフォンアプリを通じて利用者に節電への協力を依頼。それに応じて利用者がエアコンの温度設定の調整などの節電に取り組み、成功すると翌日には報酬としてPayPayのポイントを獲得できるという仕組み。
ゲーム感覚で節電に挑戦でき、それが節約にもつながるとあってサービス開始以来、順調に利用者を増やし、昨年12月には100万世帯を突破。20年7月から22年12月末までに電気使用量2161万kW時、CO2に換算すると1万1000tの削減効果を得た。利用数は、今年度末にも130万世帯に達する見通しで、同社の家庭向けプランを契約している需要家の3分の2に相当する規模だ。
エナジー事業推進本部事業開発部の楠見嵩史氏が強調するのは、節電チャレンジによる節電効果の高さ。昨年6月27日に東京電力管内で電力の需給ひっ迫注意報が発出した際に利用者に節電を要請したところ、節電チャレンジ参加者の節電効果が不参加者に比べ12%も上回ったという。
楠見氏は、「夏季や冬季と比較すると、まだ6月は節電を意識することがあまりないため、通常であればいきなり節電を要請してもこれだけの節電効果を得ることは難しかったはず。恒常的に節電の呼びかけを行ってきたことにより、利用者の間で着実に節電意識が根付いていたことで、多くの方にご協力いただけたのではないか」と、参加者が増えた要因を分析する。
CO2排出量を見える化 環境配慮行動を促進
同サービスを通じた新たな取り組みとして同社は2月、二つの機能を追加する。一つは、節電量の貢献度ランキングをアプリ上に表示し、上位者にはポイントを上乗せして付与するもの。これは、消費者に脱炭素型のライフスタイルへの転換を促すための環境省の補助事業「食とくらしの『グリーンライフ・ポイント』推進事業」に、同サービスが採択されたことを受けたことに伴う。もう一つは、節電によって削減したCO2排出量の見える化だ。
【特集2まとめ】再エネ大量導入の最前線 鍵握る地域共生と系統対策
「主力電源化」という政策目標や脱炭素化の潮流を受け、
再生可能エネルギー普及に向けた取り組みが活発だ。
太陽光発電ではFITによる大規模開発が困難となり、
中小規模の発電所開発やPPA、自家消費など、
地域と共生した新たなスキームへの転換が加速している。
風力発電では「洋上」を巡る周辺ビジネスが活況だ。
一方、大量導入には系統運用の安定化も欠かせない。
再エネビジネスの最前線を追った。
【アウトライン】燃料高騰で再エネニーズ急拡大 新ビジネスで開発案件が増加
【インタビュー】経済と環境の両立を目指す 洋上風力導入へ有望区域の準備
【対談】系統安定化対策を徹底討論 慣性力を確保し再エネ導入へ
【トピックス】系統用蓄電池を大規模実証 費用共同負担で風力向け募集
【レポート】エネルギービジネスの主流に 系統用蓄電池の未来を占う
【インタビュー】蓄電事業で地域づくりに貢献 持続可能なビジネスを育成する
【レポート】奥飛騨温泉郷で始まった新スキーム 温泉文化と地熱発電の共存共栄
【レポート】風力の発電量をしわ取り制御 ガスエンジンが調整力を担う
【レポート】中小型太陽光開発を拡大 系統用蓄電池も本格的に開始
【レポート】タイでの知見を生かした国内展開 需給管理機能で再エネニーズに対応
【レポート】再エネ発電の運用をサポート 太陽光やバイオマス火力対象に
【レポート】大規模案件を次々実現 オンサイトPPA事業を拡大
【レポート】地質調査をワンストップで提供 風車設計や認証取得に寄与
【レポート】陸と海底の「両診断」に強み 最適ソリューションで洋上支える
【レポート】水深40m以上でも調査可能 着床式基礎に対応できる調査方法
【トピックス】複数拠点間での再エネ融通を最適化 環境価値の調達コストも削減可能
【特集1まとめ】アウトルック2023 未曽有の危機克服なるか
全世界を揺るがすウクライナ戦争が勃発した2022年。
ロシアへの経済制裁に伴う化石資源供給の減少で、
世界のエネルギー勢力図は大きく塗り替わった。
その影響は23年にさらに深刻化する見通しだ。
国内に目を転じると、電気料金の値上げが本格化する。
政府の総合経済対策は負担軽減に効果を上げるのか。
GX実行会議を踏まえたエネルギー基本計画の見直しや、
国民的関心事である原発再稼働の行方からも目が離せない。
未曽有の危機が押し寄せる23年のエネルギー業界を占う。
【新春特別座談会】著名作家が占う「癸卯」の年 斬新な着想でエネ問題を両断 事実は小説より奇なりか
【特集2まとめ】保守・防災の高度化に挑む DXで人材難解消なるか
IoT機器、ドローンとデジタルソリューションを組み合わせ、
保守・管理業務を高度化するスマート保安の導入が進んでいる。
狙うは、業務の効率化、省力化、安全対策の強化などだ。
ITの進化とともにシステム性能も加速度的に向上しつつある。
少子高齢化時代において、デジタル化は人材難を解消する切り札だ。
エネルギー分野における最新の製品・ソリューションを取り上げる。
【アウトライン】産業とともに進展する保安 人材不足など新たな課題に対応
【インタビュー】認定制度でスマート保安を促進 中小事業者には予算措置で支援
【インタビュー】保安とリスクは表裏一体 「共生」の仕組みづくり必要
【レポート】ドローンとアプリで送電線点検 点検の品質・安全性の向上に貢献
【レポート】ICTを活用し安全運転に貢献 火力ボイラーの適切な定検を支援
【レポート】LPガス配送・保安を高度に管理 「スペース蛍」が照らす最適解
【レポート】ガス漏れを検知する「スマート兄弟」 保安の高度化に資する二つの製品
【レポート】プラントの安全対策を万全に 双方向通信機能をフル活用
【レポート】ガス警報器の新たな可能性 ネット接続で広がる機能・サービス
【レポート】組織力で防災訓練を高度化 マルヰ会が全国一斉に実施
【特集1まとめ】歪むエネルギー料金 国民ウケ狙う負担軽減策の功罪
10月28日、財政支出39兆円に上る政府の総合経済対策がまとまった。
その柱は、上昇の一途をたどる電気・ガス料金の負担軽減策だ。
家庭・業務用を中心に国が補助金を支給することで、
値上がり影響を最小限にとどめようというのが主な狙いだ。
しかし先行する石油燃料補助を参考に、実態なおざりで官邸が主導したため、
所管官庁の経済産業者はもとより、電力・ガス業界側も大混乱。
見る人が見れば、節穴だらけの負担軽減策と化してしまった感がある。
「国民ウケ狙い」の政治介入は料金の在り方自体を歪めかねない。
エネルギー料金低廉化のために国が本来取り組むべき施策とは何か。
【アウトライン】制度や市場の構造問題を置き去り!? 節穴だらけの電気ガス負担軽減策
【申し込み終了】無料セミナー「エネルギー業界の情報セキュリティー対策セミナー2022 Autumn」
【特集1まとめ】検証 蓄電池の実力 電力高騰・再エネ対策で脚光も……
世界的な脱炭素化の動きを背景に、蓄電池の世界市場が急拡大の様相だ。
経済産業省によると、2050年には100兆円市場へと成長する見通し。
わが国でも、大きく二つの側面から蓄電池が脚光を浴びている。
一つは、再生可能エネルギー大量導入で不安定化する電力系統対策として。
もう一つは、電気料金高騰を回避するための再エネ自家消費対策として。
しかし、蓄電池導入を巡っては制度の未整備や国際競争力の弱さが問題化。
またライフサイクル的には、素材調達・廃棄処分で環境問題を抱える。
蓄電池は次世代エネルギー時代の立役者となれるのか、実力を検証した。
【アウトライン】電力高騰で好機到来の蓄電池 国内メーカーの戦略と勝算は?
【インタビュー】国内随一のLIB専業メーカー 優れた安全性など総合力で勝負
【レポート】系統用蓄電池ビジネス解禁 普及拡大へルール整備が急務
【インタビュー】「系統に役立つ」設備形成へ 技術的要件の見極めが必要
【特集2まとめ】都市ガス150年の軌跡と展望 ガス灯から次世代エネルギーへ
1872年10月31日、横浜で初の都市ガス事業がスタートした。
夜の街を明るく照らすガス灯は明治初期の文明開化の象徴に。
以来150年を経て、ガスは国民経済に必須のインフラへと発展した。
そして現在、世界的な脱炭素化の波がガス業界に押し寄せる。
水素、メタネーション、バイオガス、地域連携……。
次なる200周年に向け、都市ガスは新機軸の局面に突入した。
【アウトライン】都市ガス事業の歴史をひもとく 利用も競争も「全ては照明から」
【座談会】受け継がれる「150年」の挑戦 LNG大国の経験が未来開く
【レポート】脱炭素に挑むガス体エネルギー e‐メタンなど次世代技術が加速
【インタビュー】持続可能な社会を実現へ 次世代ガス事業の在り方とは
【インタビュー】脱炭素時代も中核エネルギーへ 世界に先駆けた技術開発に挑戦を
【レポート】LNGに次ぐパラダイムシフト メタネーションの潜在力と行方
【インタビュー】蓄積した技術・知見を駆使 メタネーション開発で先陣切る
【レポート】液化バイオメタンの実証開始 高純度ガスを多彩な用途へ
【インタビュー】各地域との包括連携協定を展開 ソリューション提案で課題解決へ
【レポート】グリーン水素・CN都市ガスを導入 地域が主体の街づくりを支える
【レポート】富士宮市の行政サービスと連携 家庭向けPPAモデルで脱炭素化
【レポート】CNに向けた取り組みをサポート 業務用顧客向けコンサルサービス開始
【レポート】道内初の天然ガス主体ZEB物件 省エネやBCPの知見を投入
【レポート】食品工場にLNG冷熱を供給 省エネとCO2削減を実現
【レポート】ZEBに対応した新本社ビル 環境性と防災性・職場環境が向上
【トピックス】水素・メタネーション技術を展開 脱炭素化の切り札として注目
【トピックス】持続可能なメタネーションを開発 エネルギー循環のソリューション提供
【トピックス】インフラ部門の脱炭素技術に注力 メタネーションで産学官連携を加速
【トピックス】都市ガスと電気をバックアップ 公立校の体育館や給食施設へ導入
【申し込み終了】無料セミナー「新電力経営におけるリスクヘッジの新たな方策」
【特集2まとめ】ヒートポンプで新市場開拓 脱炭素時代の活用策
脱炭素時代に向けて「電化技術」が注目されている。
中でもヒートポンプ技術の進展は目覚ましく、
さまざまな用途で導入促進への期待が高まっている。
導入ポテンシャルの高さを生かし新市場を開拓へ。
先端を走る業界の取り組みを追った。
【アウトライン】CN達成に向けた電化機器普及 CO2削減の潜在量は2.5億t
【インタビュー】需要家側の役割が重要 省エネの余地ある中小企業
【座談会】家庭・産業用ヒートポンプ事情 省エネとCNに挑む最先端技術
【特集2】HPとガスの強み生かす ハイブリッド給湯設備を開発
ガス設備・機器メーカーからも注目されているヒートポンプ。燃焼式との組み合わせで新たな価値を生み出す。
【ノーリツ/三浦工業】
近年、ガス機器を扱いながら、ヒートポンプ(HP)にも注目する企業が増えている。中でも、HPと組み合わせてガスやボイラーを使うことで、新たにハイブリッド給湯システムを生み出した企業がある。ノーリツと三浦工業だ。
HP技術によって空気の熱を利用し、お湯を沸かす電気式給湯機のエコキュート。ガス給湯器メーカーのノーリツは、同社初の小型業務用エコキュートをラインアップし、今年10月に発売する。同時発売の制御ボックスと併用すると、ハイブリッド給湯システムとしても活用できる。
給湯器の業務用途では、使用湯量が曜日や季節によって大きく変動しやすい。しかし、エコキュートの貯湯ユニットにためたお湯が切れても、ガス給湯器がバックアップ熱源として作動することで、湯切れがなくなるのだ。
エコキュートは、CO2排出量を従来型給湯器と比べて約52%削減する。湯切れのリスクを回避しながら、高効率のHPによってランニングコストを抑える業務用給湯器として、脱炭素の推進を目指す。
三浦工業は、工場内で今まで使われていなかった低温廃水や循環冷却水に着目。これらの熱エネルギーを有効活用するため、熱交換器とHPの技術を利用した独自の省エネ機器を開発した。「未利用熱活用ヒートポンプVH」だ。
この機器の特長は、殺菌工程の廃温水を熱源にすることで、効率よく温水を加温してボイラーなどの加熱源の燃料使用量を削減すること。また、クーリングタワー循環水からも熱回収するので、周辺環境に排水する際に使っていた冷却水も減らせる。
同社はさらに、独自の熱回収システムで通常のHPよりも2倍以上の超効率稼働も実現。「過冷却器」と「水/水熱交換器」という、二つの熱交換器を搭載しているため、低温廃水の熱を極限まで活用するだけでなく、HPの特長を巧みに利用して、消費電力を増加させることなく、熱出力を倍増させることに成功した。
もちろん、排水処理やボイラー燃料などのランニングコスト低減に加えて、CO2の削減にも貢献している。
ノーリツも三浦工業も、給湯器やボイラーといった自社の強みを生かしつつ、HPの長所を最大限に活用したハイブリッドシステムを開発している。新しい取り組みを続ける両社から、今後も目が離せない。
【特集1まとめ】電力資金調達に暗雲 揺らぐライフライン運営
大手電力会社の資金調達に暗雲が垂れ込めている。
歴史的な燃料価格の高騰を受け、各社の収支が急速に悪化。
例年を上回る電力債が発行されたが、不調が散見される結果になった。
背景には、今年度前半に発生した社債市場の混乱に加え、
電力システム改革や資金創出力不足といった構造的問題が横たわる。
中長期的な電力ライフラインの健全運営に悪影響はないのか。
金融・格付け機関への取材や有識者座談会などで問題の深層に迫る。
【アウトライン】大手電力「社債不調」の周辺事情 資金調達悪化を招く制度の歪み