【東京ガス/顧客先でCO2資源化サービスを開始】
東京ガスはこのほど、都市ガス機器利用時の排気に含まれるCO2と水酸化物を反応させ、炭酸塩をオンサイトで製造する「CO2資源化サービス」を開始した。オンサイトでCO2から炭酸塩を製造するサービスは日本初だ。グループ会社の東京ガスエンジニアリングソリューションズが営業窓口となり、炭酸塩をオンサイト利用する工場などの産業用顧客を中心にサービス展開する。またオフィスビルや商業施設に向けても、炭酸塩を洗剤の原料にするなど、炭酸塩の利用用途を拡大する取り組みも進める。このサービスは、カナダ製の二酸化炭素回収装置「CarbinX™」を使用。同社の独自技術を加えて、日本でも排気中のCO2を吸収した炭酸塩を安定的に製造できるようにした。
【東京電力エナジーパートナー/複数発電・熱源をAI制御するシステムを開発】
東京電力エナジーパートナーは、AI技術を活用したエネルギーマネジメントシステム(EMS)を開発した。蓄熱槽やコージェネを含めた複雑な電熱併給型システムの運用を最適化する。このシステムは、電力や熱需要を30分という短時間の周期を高精度に予測することから、設備の高効率運転を計画するだけでなく、デマンドレスポンスの要請にも柔軟に対応できる。東電は東京大学などとともに実際の地冷拠点でEMS開発を進めていた。今回のシステムには「エネルギー需要予測AI」「機器モデリングAI」「運転計画立案AI」のAIを搭載している。蓄熱槽は再エネの余剰電力を活用する設備として期待が高まっている。東電はこのシステムを24年度から製品化する。
【アメリカ穀物協会/自動車分野のCO2削減にバイオ燃料をアピール】
自動車分野での現実的なCO2排出削減策として、バイオ燃料への関心が高まっている。トウモロコシ、サトウキビなどからつくるバイオエタノールをガソリン・軽油などに混ぜて自動車燃料とするもの。バイオエタノールはカーボンニュートラルであり、アメリカでは10%混ぜた「E10」が既に一般的で、「E85」も市場に流通している。日本ではイソブテンと混合してETBEとして導入され、6月から「E7」の販売も始まったが、利用は年間50万㎘(原油換算)にとどまる。バイオエタノールの値段はガソリン価格プラス揮発油税ほど。米国産の輸入に携わるアメリカ穀物協会の浜本哲郎・日本代表は、「E10が普及すれば低コストでCO2排出を大幅に削減できる」と話している。
【積水化学工業・リノベる/住宅ストックの脱炭素社会への貢献を推進】
積水化学工業・住宅カンパニーとリノベるは、協業の第一弾として、ZEH水準リノベーションの提供を開始した。マンションを対象に、ZEH水準リノベーションの設計・施工、温熱計算、BELS申請、費用対効果の見える化を一貫して提供。区分マンションの買取再販事業、個人向けと法人向けのリノベーション請負事業の3チャネルで展開する。両社の技術力と提案力を掛け合わせ、良質な住宅ストックが循環する循環型住宅マーケットを創造、脱炭素社会実現に寄与していく。
【日本郵船ほか/LNGタグボートを改造 アンモニアで脱炭素化へ】
日本郵船は、グループ会社の新日本海洋社が東京湾内で運行していたLNG燃料タグボート「魁」を、アンモニア仕様とする改造工事を開始した。エンジン、燃料タンクを含む機関全体を交換するため、機関室を切断して既存のLNG燃料仕様の設備を取り出し、アンモニア燃料仕様のものを設置する。同社とIHI原動機、日本シップヤード社など4社がNEDOのグリーンイノベーション基金事業で採択された「アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の開発」の一環で行う。2024年6月に完成後、実証運行する予定。
【大阪ガス/関西初! 自治体と連携 ライザップのプログラム】
大阪ガスは、デジタルプラットフォーム「スマイLINK TV Stick」と、ライザップが提供する健康増進プログラムを連携させ、自宅のテレビ画面を通じて、奈良県内で住民の健康増進を促す実証をリモートで行う。実証に関する包括連携協定を大阪ガス、奈良県田原本町、ライザップグループの3者で締結した。近年、高齢化社会が問題視される中、地域全体で健康寿命を延ばして活性化を図り、健康格差を縮小することが重要になっている。地方自治体を対象にテレビを介したオンライン参加型のプログラムの提供は関西初。
【三菱重工エンジン&ターボチャージャ/大型エンジン単筒機で水素混焼率50%実現】
三菱重工エンジン&ターボチャージャは、発電用ガスエンジン(5750kW)の単筒試験機での水素混焼試験を実施し、定格相当出力において水素混焼率50%(体積比)までの安定燃焼を確認した。今後、プラント補機や制御仕様なども含む生産化に向けた仕様を決定し、2025年度中の商品化を目指す。カーボンニュートラル社会への対応として水素利用のニーズが高まっていることから、水素混焼・専焼の製品投入を加速し、低・脱炭素社会実現に向けた選択肢の拡充に寄与する。
【グリッド/AIで蓄電池を制御 再エネ電源の最適化へ】
グリッドはこのほど、社会インフラ特化型SaaS「ReNom Apps for Industry SaaS」に追加する、蓄電池制御最適化エンジン「ReNom Charge」の開発を始めた。このサービスでは、AIが複数の再エネ発電や市場価格予測シナリオの中から変動リスクを確率的に計算。収益最⼤化やCO2最⼩化などの⽬的に沿って最適化された充放電計画を⾃動⽴案する。
【日本照明工業会/あかりの新たな可能性 募ったアイデアを表彰】
日本照明工業会は10月、「Lighting 5.0~未来のあかりアイデアコンテスト2023~」の表彰式を開催した。未来を照らすあかりの新しい可能性のアイデアを広く募集し、8歳から81歳まで計290件の応募の中から各賞を決定。最優秀賞は、住空間照明をカスタマイズできる「住人灯色―JUNIN TOIRO―」を発表したTOPPANの4人に決まった。
【日揮ほか/次世代太陽電池の実証 北海道の物流に設置】
日揮は、苫小牧埠頭社、エネコートテクノロジーズ社(エネコート)と3社で、北海道苫小牧市の物流施設に次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」を設置して共同実証実験を開始する。2024年初春から約1年間の予定。物流施設での実証は国内初で、屋根や壁面向けの新たな設置方法を開発・実証する。モジュール変換効率19.4%という高効率の開発に成功したエネコートは京都大学発のスタートアップ。日揮のエンジニアリング技術と融合させ、早期社会実装に資する施工方法や発電システムの開発に貢献する。
【きんでん・日立製作所/送電ケーブルの加工技能支援ソリューションを試行運用】
きんでんと日立製作所はこのほど、デジタル技術で77kV送電ケーブルジョインターを早期に育成する技能訓練支援ソリューションの試行運用を共同で開始した。同ソリューションは、77kV送電ケーブルの中間接続箱組立作業工程のうち、外部半導電層と絶縁層を規定された寸法にガラス片で切削してケーブル表面を鏡面状に加工する技能を対象としている。日立のセンサー付きグローブによって動作データを収集・数値化し、共同開発したアルゴリズムによって複数の技能検知項目を抽出してデータを比較・解析する。解析結果として改善するべき動作のポイントなどを提示。短期間で効率良く技能を習得することができるほか、作業の標準化や品質の安定化につなげことができる。