A 電力小売り自由化や脱炭素化に向けた動きなどさまざまな背景がある中で、発電事業者は火力発電所を減らす方向にかじを切りつつある。この状況下で、供給力確保の対策を取ってこなかった影響が出てきたということだろう。これを機に、真剣に対応していただきたい。供給力を掘り起こそうと、資源エネルギー庁は4月に1カ月かけて発電事業者に契約の見直しなどを働きかけたが、結局何も出てこなかった。自家発も含め、打てる手は既に打っているから当然のことだ。梶山大臣の発言には、打開策があまり残されていないことへの焦りが見えた。
B 確かに、通常は冬の供給力不足については秋ごろに手当てするので、警告が早めにきた印象だ。秋には容量市場のオークションが控えているし、約定価格が高いなどと不満が出る前に、ノンヘッジの新電力は供給力を確保しておくようにとの警告と受け止めたよ。一方で、調子に乗って石油火力を閉めるなという大手電力会社へのメッセージでもあるんじゃないかな。
C 次の夏冬と、この1月の電源・需給状況はほぼ同じなのに、1月にはここまでのことは言わなかった。でも今回は言うんだよなと思った。4月にJERAの姉崎火力5、6号機が長期計画停止に入ったことが、東京エリアでの次の冬の需給ひっ迫懸念の引き金を引いたわけだけど、その姉崎が調整力(電源Ⅰ)の追加公募で再稼働するというのはなかなかひどい話。だけど、kW収入を受け取らないと立ちいかないところまで不採算化が進んでしまったのだろう。
D 梶山大臣の発言は、日本全体の需給を考えると必要だったのかもしれないが、新電力にとってはタイミングも含めて正直痛かった。冬の市場価格高騰で打撃を受けて、夏に向けてどういう調達を固めていこうか、まさに検討していたところだったからね。売り手が強気になる材料になったし、実際、調達しようとしていたポジションの中で条件が厳しくなった。長期のヘッジニーズは今後も継続するだろう。