インタビュー:平岩芳朗/送配電網協議会 理事・事務局長
今回、供給側と需要側の双方で講じてきた需給対策が機能したとみる。費用対効果を踏まえ、今後も設備対策についての検討を継続、加速していく必要性を強調する。
―どのような対策が功を奏し計画停電を回避できたのですか。
平岩 3・11以降、50 Hzと60 Hzエリア間で電力を取引・融通するための周波数変換装置(FC)の増強などの設備対策や、自家発電の焚き増し、節電要請に至る仕組みなど、供給側と需要側の双方で需給対策が講じられてきました。今回は、それらが機能したと考えています。
―FCの設備容量が増強されていた成果があったわけですね。
平岩 3月に入り30万kWが作業停止中でしたが、3月22日には緊急時用に確保されているマージン60万kWを含む180万kWをフル活用し、60 Hzから50 Hzエリアに電気が供給されていました。FCはさらに300万kWまで増強する計画で、北海道胆振東部地震を踏まえ北本連系線も30万kWの増強を計画しており、ともに2027年度の使用開始を目指し、現在、工事や準備を進めております。
また、電力を取り巻く環境が変化する中、電力広域的運営推進機関における広域連系系統のマスタープランの検討状況なども勘案しつつ、設備対策については、費用対効果を踏まえた検討を今後も継続、加速していく必要があります。
―新たに見えてきた課題はありますか。
平岩 発電機など電力設備の定期点検時期は、停止期間中の供給信頼度が落ちないよう調整し、夏季や冬季の高需要期を避けて計画を立てることが多くなっています。3月22日は、東京エリアで約570万kWの電源が作業停止中で、これは、1月の停止量の約2倍に相当します。端境期には、定期点検などで設備が多く止まり、厳気象のような事象が起きると需給ひっ迫に陥るため、夏と冬だけに注目すればよいわけではありません。このため、年間を通して作業停止をどのように調整するのか、より望ましい方法を検討していかなければなりません。
―生活への影響を考慮すると、節電要請ばかりに頼れません。
平岩 安定供給に必要な供給力が最低限確保されていることが前提ですが、需給ひっ迫対策は、連系線の増強、インセンティブを付与するデマンドレスポンス(DR)といった計画的な対策と、実際にひっ迫した際の節電要請や計画停電などの臨時的な対策の二つがあると考えます。コストや社会的な影響を考慮しながら、稀頻度事象として、どの程度までのリスクに対し計画的な対策を取るべきか、といった考え方を整理していく必要があります。
―供給力の不足という根本要因を取り除かない限り、危機は繰り返されます。
平岩 火力電源の休廃止が相次ぐ一方、新設投資が増えていません。国は新規の電源などの投資を促すための検討を進めています。一般送配電事業者が、調整力を市場で調達し安定供給を確保するという責務を果たすためには、供給力が確保されたうえで、必要な調整力が確保されることが不可欠です。その上でひっ迫対応を考えるべきでしょう。

工学系研究科電気工学専攻修了、中部電力入社。
系統運用部長、取締役専務執行役員、
取締役副社長執行役員などを経て2021年4月1日から現職。












