イラン戦争を機に、エネルギー利用の在り方が問われている。
今回の危機を契機に、さらなる省エネを進める必要がある。
1970年代の危機の時と比べて、技術革新が進展しており、
さまざまなエネルギー設備・製品が生み出されてきた。
さらに今は、2050年カーボンニュートラル実現の流れの中で、
水素など化石資源への依存度を抑える取り組みも進んでいる。
家庭用から産業用まで各分野の取り組みを追った。



政府側の危機感を欠けた答弁に、百田議員は不快感を示した。「危機管理なさすぎに呆れるが、もっと驚くのは、「どこで失くしたか?」と何度聞いても絶対に答えないことだ。人を舐めているのか」と批判した。そのXの閲覧数は19万件をこえた。同意する国民が多いということだろう。百田議員の質問と答弁は、SNSやYouTubeに転載されて拡散している。

電力・原子力関係者は、このやりとりと原子力規制委員会・規制庁に、不快感を抱くだろう。同委は、その創設以来、原子力発電所の厳しい安全対策を事業者に求めてきた。そこでは、設備に加えて、人の安全対策もあった。事業者側は再稼働のために、その厳しい要求を受け入れてきた。ところが、それ規制庁側がスマートフォンさえ管理できていない。自分の管理体制に問題があるのに、他人に管理を要求できるのかという疑問を抱いてしまう。
原子力規制庁(NRA)職員の業務用スマホ紛失事件は、昨年末に中国・上海での一件が明らかになった。原子力規制庁の職員が25年11月3日、私的な旅行中に、上海の空港保安検査時にスマホをなくしたもようだ。手荷物を預けた際とみられる。帰国後に3日経過した11月6日に気づき、空港などに問い合わせたが見つからなかった。
このスマホは防災に使う業務用で、核セキュリティー担当部署の非公表職員名・連絡先、職員名簿などの個人情報・機密情報が登録されていた。国外にあるため、追跡や外部ロックができないという。規制庁は、情報漏えいの可能性を否定できず、規制庁は海外持ち出し禁止を注意喚起した。それを含めて25年に12件もスマホ紛失が起きてしまった。またこれによる処分を、規制庁は公開していない。
報道によると、規制庁は約600台の防災用スマホを職員に業務のために貸与しているが管理が甘すぎる。今年5月にトランプ大統領は財界人を連れて中国を訪問した。そこでは訪問者は全員、スマホを中国国内で所持せず、自分のスマホは電源を入れなかったという。必要な人は、使い捨て携帯を国が支給。宿泊施設は完全に盗聴器調査をし、中国から送られたものは全て中国に捨ててきた。そうした情報セキュリティ対策と中国への不信を、米国は世界の報道陣に公開した。米国の姿勢と対比すると、日本の甘さが際立つ。

萩生田光一幹事長代行は5月18日の会見で、イラン情勢を背景にした現在の燃料油補助について「文字通り激変緩和措置なので、この170円を全く見直しせずにこのまま延々と続けるというのも、かなり無理がある」と指摘。その上で、「新しい原油については、輸送のコストなどを含めてかなり高いものになっている。そういったことを国民に理解していただくことも、必要ではないか」との見解を示した。一方で、原油量に関しては「代替国も含めて7割くらいの供給、そして220日分の備蓄がまだある。そういう意味では量的には心配はないところまで切り抜けた」と述べた。
翌19日、赤沢亮正経済産業相は閣議後会見で、燃料油補助金の問題についてこう言及した。「燃料油価格の激変緩和措置は、ガソリン価格が200円を超える水準に急騰する恐れがあったことを念頭に、国民生活と経済活動を守るために緊急的に、可及的速やかにガソリン価格を引き下げるために講じたもの。与党からは中東情勢、価格動向、政策の持続可能性を勘案しつつ、政府として柔軟に対応すべきとの提言をいただいている。中東情勢が不透明な中、今後の物価動向や経済に与える影響を注視するとともに、経産省として必要な検討を進めていく」
そもそも燃料油の補助金制度は、萩生田氏が経産相を務めていた2022年1月に原油価格高騰に対処するための激変緩和措置としてスタートした。その後、原油高は収束したものの、今度は円安の進展による輸入コスト高が起きたことから、物価高騰対策として継続。昨年12月末、ガソリン暫定税率の廃止に伴って、ようやく終了した。しかし、そのわずか2カ月後に米国・イスラエルとイランの軍事衝突が勃発。ホルムズ海峡が事実上封鎖され、原油価格が再び高騰したことで、3月19日に補助金が再開された格好だ。
米国とイランの和平交渉が「チキンレース」の様相を呈す中、
ホルムズ海峡問題の影響が深刻化の一途をたどっている。
中東依存度の高いアジア諸国は軒並み深刻な石油・ガス不足に。
一方、日本は備蓄放出、代替調達、燃料油補助などの緊急対策により、
今のところ経済活動・国民生活に大きな混乱は生じていない。
しかし、「第3次石油危機」と称されるほどの有事下、
長期化を想定した総合対策、需給構造の転換は必須の状況だ。
過去の石油ショックを教訓に、史上最大の危機をどう乗り越えるのか。
エネルギー問題に絡む政・官・学・業の関係者を徹底取材した。

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「燃油とか、そういうものについても、使うのを少し控えるように制限かけたらどうかという声もいただくが、しかしながら、私は経済活動、今止めるべきではないと思っている。社会活動も止めるべきではないと思っている」「日本全体として必要となる量は確保できており、年を越えて、石油の安定供給のめどはついている」――。27日に行われた参議院予算委員会での集中質疑で、高市早苗首相は立憲民主党の森本真治議員の質問に答える形で、需要制限に否定的な姿勢を示した。
現時点で石油節約の必要はないというのは、政府・与党の一致した見解だ。「政府がいま節約を呼びかけたらどうなるか。国民の不安をあおり、社会に混乱を招く恐れがある。備蓄放出や代替調達ルートの確保によって、当面必要な量の石油供給は手当てできている。いまは経済を回すことが重要であり、需要抑制などを行う時期ではない」(永田町関係者)
一方、経済界の代表である経団連は異なる見解だ。筒井義信会長は、4月6日の定例会見で「需要抑制策の検討は、国民のマインドに大きな影響が出てくる可能性があるため、十分なアセスメント(評価)が必要だ。混乱を回避し、冷静な対応を促すため、安心の確保という観点に留意した発信が必要」としながらも、「石油備蓄に余裕があるうちに、長期化を想定した、需給両面での総合的な検討を急ぐべきだ。需要抑制策の検討に際しては、当然、マクロ経済への影響も斟酌しなければならない。また、検討にあたっては、省エネ・節電などに関し、経済界として必要な対応を政府に進言し、協力もしていく決意だ」「どのような節約の方法が考えられるのかという点について、具体的には申し上げないが、国際エネルギー機関が例示した対応策も踏まえ、わが国の特徴も考慮した形での需給両面での対策の中身、さらに発動の条件や対象を十分に検討する必要がある」などと強調。20日の会見でも「ホルムズ海峡の周辺国を含めて石油関連施設の破壊もみられる中、仮にホルムズ海峡の封鎖が解かれたとしても、復旧・復興に数カ月を要するのか、あるいは1~2年を要するのかを見通すことはできない。一定期間こうした状態が継続することを見据えて、様々な政策面での検討が必要となろう」と述べた。


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日本政府は3月19日から、レギュラーガソリンの全国平均価格を1ℓ当たり170円に抑えることを目的に、元売り各社に対する燃料油補助金の支給を再開。財源には約2800億円の基金の残高を活用するとともに、24日には今年度予算の予備費から8000億円を基金に拠出することを閣議決定した。さらに政府は必要に応じて、26年度予算案に計上されている1兆円の予備費からも補助金の支出を検討する構えだ。
加えて、政府は26日、石油の国家備蓄1カ月分の放出を順次開始した。16日に実施した民間備蓄15日分の放出に続く措置で、あわせて過去最大となる45日分を放出する。また、ホルムズ海峡を経由しない原油調達先の多角化を急いでいる。「供給安定化」と「価格低廉化」の同時達成を狙っているわけだが、出口の見通せない補助金政策による財政負担の増大は円安を加速させ、原油調達コストがさらに上昇するという悪循環を招く可能性もある。
ホルムズ封鎖で中東からの石油供給が途絶している現在、日本には250日分の備蓄があるとはいえ、本来は限られた在庫をできる限り長くもたせるため、価格を値上げし、少なくとも一般利用者については消費抑制に向かわせる政策が必要だ。補助金が支給される前の16日時点で、石油情報センターが公表したガソリンの全国平均価格は1ℓ当たり190.8円と前週の161.8円から急激に上昇。ことレジャー目的のマイカー利用者は3月中旬ごろにドライブを控えたり、鉄道やバスといった公共交通機関を利用したりするなど、ガソリン代を節約する行動に出始めた。しかし、19日以降は補助金支給の効果が表れ始め、23日時点の全国平均価格は177.7円で前週から13.1円の値下がり。首都圏などの競争の激しい地域では1ℓ160円程度の看板を掲げるガソリンスタンドもみられている。

イランによるホルムズ海峡閉鎖の長期化で、エネルギー市場の混乱も続く。そうした中、「我が世の春」を謳歌している国がロシアだ。この戦争で、多くの恩恵を被っている。
まずは石油・ガス価格の上昇だ。開戦直前まで国際的な原油安に加え、欧米による厳しい経済制裁により、ロシアは大幅な値引きを強いられていた。今年1月の石油・ガス収入は50億ドルにまで落ち込み、今年1~2月の財政赤字は国内総生産(GDP)の1.5%に達した。わずか2カ月で年間予想額の1.6%に近づいたことで、政府は予算縮減策の検討に着手した。ウクライナでの戦争継続にも疑問符がつく事態に追い込まれつつあった。
だが、イラク戦争開戦とホルムズ海峡封鎖という「神風」が吹く。1バレル=65ドル台だった原油価格は、一時、119ドルまで上昇、その後も100ドルをはさんだ取引が続く。ロシアのウラル産原油の値引き幅も一気に縮小した。ロシアの臨時収入は1カ月で30~40億ドルに達するとされる。まさに「棚ぼた」だ。
2点目は、米国による制裁の一時停止だ。トランプ米政権は、原油の流通量を確保しようと、ウクライナ戦争を機に発動していたロシア産原油への制裁措置を解除した。米国民に不人気なガソリン価格上昇をできるだけ抑え込むのが狙いだ。
制裁解除により、ロシア産原油の購入を控えていた中国の石油大手シノペックやペトロチャイナなどが購入再開に興味を示すほか、インドやトルコも購入量を増やしている。
米国は、あろうことか3月19日にはイランへの原油制裁も解除した。イランの戦費調達を容易にする恐れがあるが、原油価格の安定を優先させた。制裁措置の停止はいずれも1カ月が期限だが、戦争と同様に長期化すると予想されている。
三つ目は、ロシアが米国との新たな交渉道具を手にした点だ。昨年、イランと戦略的パートナーシップを結んだロシアは、開戦以後、中東に展開している米軍や周辺諸国の軍の位置座標や情報をイランに提供している。また、イランがウクライナ攻撃用にロシアに供与したシャヘド型ドローンを改造して能力向上を図ったものをイランに「逆輸出」している。
米国は、これらを問題視しているが、ロシアのドミトリエフ特別代表は11日に米南部フロリダであった米露協議の場で「米国がウクライナに実施している情報提供を停止すれば、ロシアもイラン支援をやめる」と、取引を持ちかけた。機を見るに敏、使えるものは何でも使おうというロシアのしたたかさが透けて見える。ロシアに詳しい外交官は「ロシアは『無』から『有』を生み出す天才だ。今回がその典型的な例だ」と取材に答えた。
報道も含め世界の関心が中東に集まれば、ウクライナ戦争の注目度が落ちることもロシアにとっては追い風になる。米国は、中東諸国を守ることを優先してミサイル迎撃用のパトリオット・ミサイルを中東に手厚く配備する作業を進めており、ウクライナに武器が届かず守りが手薄になっている。ロシアはその隙を突きウクライナに攻勢をかける準備を整えつつある。元手となるのは、石油価格上昇で得た臨時収入だ。さらに、国際的な注目を浴びずに攻勢を仕掛けられるのも大きな利点だ。
このほか、ロシアが主要供給国となっている肥料の価格上昇もロシアの収入増につながる。中東湾岸諸国は肥料の3分の1、尿素の5割を国際市場に供給してきたが、石油や天然ガスと同様。ホルムズ海峡を通航できない状況が続く。
ロシアの「おらが春」はいつまで続くのか。それはトランプ氏の差配にかかっている。

一般的にバレル当たり100ドルに関しては、それ以上は「超」高値圏という閾値(threshold)として言及されることが多い。3月第2週時点でも、ホルムズ海峡封鎖を前提にしながら、100ドル代前半の予想が主流だ。例えば3月9日付けウォールストリートジャーナル紙が伝えた金融・エネルギー調査関係4社の見通しは、130ドルから150ドルの間に集まる。
しかしこの価格帯は、巨大な供給途絶量の現実に対し、低すぎて全く釣り合わない。例えばロシアによるウクライナ侵略開始後、2022年3月から7月の間、ブレント原油価格はバレル当たり100ドルから130ドルの範囲で推移した。しかしこの間、ロシア原油の輸出は順調に続き、不安はあったものの、実体的な供給ひっ迫は何ら生じていない。
また、11年から13年まで、いわゆる「コモディティー・スーパー・サイクル」と呼ばれた商品価格の上昇期に、ブレント原油は25年実質価格で平均150~160ドルだったが、この時も不測の供給途絶はなく、石油消費も年率平均3%弱の高率で増加していた。実質150ドル前後の価格は、当時の生産費用の上昇に応じて、供給・需要側双方に新規投資・技術革新を促す、市場の自律的反応だった。事実、この価格を拠り所として、10年代後半に米国で「シェール革命」が開花している。

東電は現時点で51年目標を変更しない方針だ。その背景には、現場環境の改善がある。処理水の海洋放出は計画通り行われ、作業エリアの大半で一般作業服での作業が可能になった。使用済み燃料プールからの燃料取り出しも進展し、事故直後のような緊急対応の段階は脱した。燃料デブリ取り出しに集中できる時期を迎えつつある。
それでも、51年目標は非現実的だとする声は根強い。事故直後に示された中長期ロードマップでは、21年までにデブリ取り出し開始を予定していた。しかし、4年以上経過した今、推計880tのうち、取り出したのは試験回収での0.9gにすぎない。格納容器内部の状況把握、デブリの性質の解析、遠隔ロボットの技術開発など課題山積で、回収開始から全量取り出しまで68~170年かかるという試算もある。これでは51年どころか22世紀に突入してしまう。
NHKは11日のウェブ版記事「福島第一原発事故15年 2051年までの廃炉 実現の見通し立たず」で〈現在は核燃料デブリの取り出しを終える具体的な時期は示されておらず、政府と東京電力が掲げる2051年までの廃炉の完了を実現できる見通しは立たない状況となっています〉と伝えた。
こうした現実を前に、廃炉を巡る議論は「いつ終わるか」だけでなく、「どう終わらせるか」にも広がっている。10日には毎日新聞がウェブ版に「原発事故の跡地利用に『遺構』支持する声 『議論早すぎる』の指摘も」との記事を公開。1Fの一部を原爆ドームのように「遺構」として残すことを提案する大学教授の声などを取り上げた。
朝日新聞も11日の朝刊オピニオン欄で、〈更地にして返してもらえると思っている福島県民も多いでしょうが、国と東京電力は廃炉の最終形をあいまいにしたままで、不誠実です。(中略)現実的で具体的な工程を練り直すべきではないでしょうか〉と、福島県いわき市を拠点に活動する地域活動家のインタビューを掲載した。
被災地である福島への責任として廃炉以外の選択肢を模索することは、これまで世論的にタブー視されてきたが、左派系の有力メディアがそこに目線を向け始めたことは、ある意味で驚きだ。
全量取り出し、石棺化、遺構化──。それぞれ技術的困難性や周辺地域の再利用の制約、放射線量の維持管理などの課題がある。1F処理の方針は東電の再建に直結する話で、高度な政治的判断が必要だ。廃炉にかかる費用はすでに5.2兆円が確定しており、政府が試算した8兆円枠を超えることは不可避とみられている。それだけに「廃炉→更地」化を諦めるのであれば、時期は早いに越したことはない。そう遠くない将来、国民的議論が巻き起こりそうな予感がする。

地政学リスクの高まりや脱炭素の要請を背景に、世界で原子力発電の価値が見直されている。
ウランの争奪戦が見込まれる中、資源を再利用できる原子燃料サイクルの意義はこれまで以上に高まった。
国土が限られる日本にとっては、高レベル放射性廃棄物の減容化や有害度の低減も避けて通れない。
こうした課題を解決するサイクルの確立に向け、日本の取り組みは着実に次のステージへと進みつつある。
描く青写真にどこまで近づいているのか。足りないピースは何か──。
六ヶ所再処理工場の竣工が見えてきた今、その真価を問う。

【アウトライン】エネルギー安保確立の“究極の切り札” 聞こえてきたサイクル実現の足音

ハメネイ師は、1979年のイラン・イスラム革命を主導したホメイニ師が89年に亡くなったことを受けて二代目の最高指導者に就任した。イスラム教シーア派の法学者として35年以上に及ぶ治世を続けてきた。4月に87歳を迎えるはずだった。
「米国に死を」をスローガンに掲げる革命政権の指導者らしく、最後まで米国に抵抗する道を選んだ。米国のトランプ政権はイランに核兵器開発にもつながるウラン濃縮を断念するよう重ねて求めてきたが、濃縮は原子力の平和利用の重要な柱として核拡散防止条約(NPT)でも認められている権利だとして要求を突っぱね続けきた。
最近は、米国との対立が激化する現状を、シーア派3代目イマームが7世紀後半にイラク南部のカルバラで、負けるとわかっていた戦いに挑み殉教した故事になぞらえる発言が目立っていた。米国に「ひざまずいて生き延びるのではなく、立ち上がって死ぬ」ことを潔しとした。
最高指導者の死を受けてイランのどうなるのか。様々なシナリオがある。
トランプ氏は28日の開戦時のビデオ演説で「我々の任務が終わったら、あなたたちの政府を掌握してください」とイラン国民に、体制転換を実現するよう促した。だが、現時点で最も可能性が高いのは、イスラム法学者をハメネイ師の後継に据えた「神権政治」継続だ。
ハメネイ師は今年1月末、初代の最高指導者ホメイニ師の息子であるハッサン・ホメイニ師とともに、テヘラン郊外にあるホメイニ廟で祈りを捧げる写真を公開した。革命政権を継続するためハッサン師を後継者にするというサインだとの分析もある。
また、ハメネイ師は昨年、米国とイスラエルとの「12日間戦争」後に、後継者候補3人を選んだとされる。ただ、その名前は公表されていない。突然の死に備えた準備を進めていたのは確実で、粛々と後継者が決まる可能性がある。
二つ目は、イラン革命防衛隊(IRGC)が実権を握る可能性だ。IRGCは、イラン革命後に、革命政権を守るために設立された軍隊だ。それまでの正規軍は、王政時代を支えてきた勢力であるため、革命政権は独自の軍隊を作りあげた。ただ、正規軍は現在も残る。軍に徴兵される兵士は、正規軍かIRGCの好きな方に入隊できる。正規軍には都会育ちのリベラル派、IRGCは田舎育ちの保守派が多いとされる。
革命から半世紀近くを経て、IRGCは軍としての機能だけでなく、巨大な企業群を形成した一大勢力となっている。一説には、イランの国内総生産(GDP)の何割かはIRGCの息のかかった活動と言われ、欧米などによる厳しい経済制裁が続く中、闇ビジネスなどの利権を独占している。こうした「利権」を守るためにも、革命政権の継続が必要で、体制内クーデターを起こしてでも、権力を奪取する可能性がある。ハメネイ師の後継者を上手に祭り上げながら、IRGCが院政を敷くなどさまざまなパターンが想定される。