【特集2まとめ】分散型制御でVPP新時代へ 進化する東京ガスソリューション


コージェネレーション、再生可能エネルギー、GHPなど
需要家側に設置されたエネルギー関連設備―。
多様な分散型エネルギーリソースを統合制御することで、
VPP(仮想発電所)として運用する取り組みが始まっている。
東京ガス法人営業部門が新たなソリューションとして
顧客への提案活動に力を入れている。
ユーザーにはどんなメリットをもたらすのか。
進化するソリューションビジネスの最前線を追った。

【アウトライン】VPP推進で社会貢献果たす 電力供給の安定化に寄与

【インタビュー】VPP推進に高い意義 多様な設備管理で強み発揮

【レポート】丁寧な説明でリソース獲得 最適運用でメリット生み出す

【レポート】普及拡大のEVをリソースに 集合住宅に充電インフラを整備

【レポート】見える化で効率的に設備を運用 汎用性高く手頃な導入コスト

【特集1まとめ】漂浪する自由化 電力システム改革を独自検証


2015年度から3段階で進められてきた電力システム改革。
その検証作業が、資源エネルギー庁の有識者会議でスタートした。
改革の狙いは、市場化を軸に競争原理を導入することで電気事業全体の効率化を図り、
安定供給の確保、電気料金の抑制、需要家の選択肢拡大を目指すことにあった。
だが原発の稼働停止が長期化する中、再生可能エネルギーの大量導入によって、
供給網の不安定化が加速したほか、ウクライナ戦争に端を発する燃料価格の高騰が
料金の大幅上昇という形で需要家を直撃するなど、現実は理想にはほど遠い。
もはや、パッチワークの制度措置では抜本的な解決策は望めない。
「漂浪する自由化」の漂着地は一体どこにあるのか―。
有識者や業界関係者への取材を通じて、本誌が独自検証した。

【アウトライン】目的達成にほど遠い電力改革 期待と不安が交錯する検証議論

【座談会】経産省の検証作業を一刀両断 不可欠な需要家目線の議論

【インタビュー】現行制度で多様な問題点の指摘 整合的な制度設計がポイントに

【レポート】先行する欧米でいまだ続く試行錯誤 海外事例に見る日本への示唆

【北陸電力 松田社長】能登と「こころをひとつ」に 地震からの復旧・復興へ グループの総力を挙げる


2024年元旦、能登を中心とする北陸地方を最大震度7の巨大地震と津波が襲った。

損傷した電力インフラの復旧に全力を挙げつつ、財務基盤の強化、脱炭素化、新事業領域の拡大という三つの柱に注力し持続的な経営を実現する。

【インタビュー:松田光司/北陸電力社長】

まつだ・こうじ 1985年金沢大学経済学部卒、北陸電力入社。営業推進部長、エネルギー営業部長、石川支店長などを経て、2019年6月取締役常務執行役員。21年6月から現職。

志賀 元日に能登半島地震が発生し、2024年は非常に大変な幕開けとなりました。

松田 最大震度7を観測した今回の地震は、度重なる余震や降雪により能登地域を中心に家屋の倒壊や道路寸断といった深刻な被害が発生するなど、われわれがかつて経験したことのない「未曽有の災害」となりました。

当社は迅速な災害体制を敷く観点から、震度6以上で最寄りの事業所へ自動出社するルールを設けていますが、家屋の損壊など自らも被害に遭った中で、家族・親族の最低限の安否を確認した上で、多くの社員が駆け付けてくれました。幸い全ての社員にけが人はいませんでしたが、今も避難所から出社している社員もいます。

志賀 当初は被害状況の把握が難しく、対応は困難を極めたのではないでしょうか。

松田 元日の夕方に発生した地震ではありましたが、発災直後に私を総本部長とする「非常災害対策総本部」を立ち上げ、午後6時には全役員がそろって最初の対策会議を開きました。最も被害が大きかった能登エリアの事業所ともテレビ会議をつなぐことができたため、道路の損壊状況など限られた情報の中でも早い段階から現地の情報を得ることができたのは非常に良かったと思います。とはいえ、地震直後は現地に立ち入ることもままならない状況の中、陸路に加えヘリコプターや船を利用するなど、関係各所と連携しながら電力設備の巡視や点検を実施し、状況把握を行うことから始まりました。

発災直後に非常災害対策総本部を立ち上げた

設備の復旧作業に当たるのは、主に北陸電力送配電および協力会社ですが、24時間体制の燃料補給や食料・車両の手配などの後方支援を北陸電力の社員が一手に担い、自治体の復旧拠点・医療機関・福祉施設や各地域の避難所など、まずは人命に関わる場所へ優先的に高圧・低圧発電機車を配備するなど、当社グループ一体となって電気の供給再開を急ぎました。

余震や降雪などの影響で新たな停電が発生したこともあり、延べ約7万戸が停電しましたが、国や自治体、自衛隊などとも連携し道路啓開に合わせた復旧作業を昼夜問わず進め、土砂崩れや道路損壊による立ち入り困難箇所、地震・津波・火災により建物に甚大な被害を受けるなど早期の復旧が見通せない一部の地域を除き、1月中には停電は概ね解消しています。これは当社グループだけの力ではなく、協力会社の皆さんや全国の電力会社の皆さんに応援に駆けつけていただいたおかげであり、大変感謝しています。