【静岡ガス】
CO2の削減に大きな余地を残す家庭用のエネルギー利用。この分野でいかに環境対策を進めていくかが、カーボンニュートラル時代に向けたエネルギー業界の大きな課題である。そうした中、静岡ガスでは、住宅業界と連携しながら、環境に優しい省エネ住宅の普及を進めている。
「SHIZUOKA環境みらいの会」―。静岡ガスが、地場の工務店や金融機関地元行政などと連携して、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及に取り組むための新組織を、2022年7月に立ち上げた。
省エネルギー法の改正により、家庭用エネルギー利用が大転換を迎えようとしている中、25年以降、住宅を含む全ての新築の建物に対して断熱性を高めたスペックとし、さらに30年以降にはZEH基準へとその省エネ水準が引き上げられる。いずれも義務化だ。
静岡ガスをはじめとするガス業界としては、エネファームや太陽光パネルといったエネルギー機器を組み合わせたZEHへの取り組みが避けて通れない。
一方、ハウスメーカー側に目を向けると、大手メーカーは独自にZEHの普及に取り組む一方、中小のハウスビルダーの対策が課題となっている。資金力や技術力、情報収集能力に乏しい地場の工務店がZEHへアプローチできるかが、大きなカギを握る。
地場の中小工務店がカギ エコジョーズでもZEH可能
「新築着工件数におけるZEHの全国平均の割合は25%程度だが、大手メーカーが手掛ける割合は50%を超えている。いかに大手以外による比率を高めていくかが課題となっている。そうした背景から、地場の工務店さんや建築会社さんの技術的なサポートやエネルギー利用に対する意識付けを高めていきたいというコンセプトで、当社が発起人となって新組織を立ち上げた」。営業本部くらし開発部ルート開発グループの鈴木幸祐さんはこう説明する。そんな経緯から、この組織は地場の工務店や建築会社だけで構成している。所属する会員企業は発足から数カ月で60社ほどになった。
静岡ガスとしては、まずはエネファームと太陽光パネルを標準装備するZEHに注力する一方、エコジョーズ対応も提案していく。照明のLED化や高断熱性能の浴槽、水回りの節水栓など、細かい設備を組み込めば、エネファームを導入せずともエコジョーズと太陽光だけでも十分対応可能だそうだ。エンドユーザーにとっては割安なZEHを導入できるという意味で、ありがたい提案だ。
また業界は今春から「ZEH対応できるようなエネルギーの低消費用の床暖房機器をリリースする予定」とし、ユーザーの快適性を決して損なわないような取り組みも並行して進めている。
ZEH化の波は、ガス業界の取り組みを大きく変えようとしている。ガスコンロや床暖房、エコジョーズ、エネファームといった従来の商材に加えて、太陽光やエアコン、LED照明や節水設備といった、生活回りのアイテムも提案商材としての範疇になっていく。ZEH化は全国的な共通課題であるだけに、静岡ガスの取り組みに期待がかかる。















