【川崎地質】
1943年に地質調査のパイオニアとしたスタートした川崎地質(東京都港区、栃本泰浩社長)。現在では、「地質調査」のほかに、「海洋・資源・エネルギー」「防災・減災」「メンテナンス」の分野を軸に業務を手掛けている。中でも、海洋分野については業界に先駆けて事業を展開し、40年近くの実績を持つ。海洋領域では活断層調査、海底資源探査に加え、日本国の海域面積の拡大に関わる大陸棚策定調査といった極めて重要な調査を行ってきた実績がある。
「当社は陸と海底の両方の『地質診断』ができる、国内でも珍しい存在の企業です。海底の地盤の調査は陸上と異なり海水の存在が、安全性も含め調査の難易度を高めています。海底調査を進める上で初期に行う探査業務とボーリングなどの地質調査を1社ワンストップで提供できることが当社の強みです」。同社企画・技術本部副本部長の沼宮内信執行役員は、こう説明する。
地質調査とはその名の通り、ボーリングを掘るなどして地質そのものを調査する業務で、いわば「点」の情報である。一方、探査業務は、海底地形や海底地盤の地層の連続性を調べる「面」の情報である。船の上から音波を海底に当て、その反射具合で海底の地形を調べる「音波探査」などの手法を用いる。同社はこの点の情報の「地質」と面の情報の「探査」の両技術を保有し、得られたデータを解析することで、事業に必要な情報を提供できる。
これまで行ってきた業務で、日本国内の多くの海域で活動してきた経験も探査の品質や最適ソリューションの提案に大きく寄与している。
例えば音波探査では、どのような船を活用するか、海底の深さや想定される地層は何か、どういった音源や受振ケーブルを選択するか。この辺が腕の見せどころだという。
洋上風力案件が増加 探査の新手法を編み出す
そんな同社では国内ニーズの高まりを受けて、洋上風力案件の業務が増えており、17年以降、力を入れている。秋田・能代、青森・つがる沖、千葉県・いすみ沖、北海道・石狩沖、福井・あらわ沖など年々関わる件数が増えており、来年もその傾向が続くという。
業務量が増加する一方、探査技術では新しい手法を編み出している。例えば、陸上では一般的な手法である「微動アレイ探査」を海底へと取り入れた。これは、微動計を海底に設置し、自然地盤のいろいろな固有の微動を計測することで、耐震設計に必要な耐震基盤面の分布や地下構造を調べる。洋上風力設備の施工に関わる重要なデータとなる。
「この微動計を海底のどこのポイントに、どのように置くかがノウハウになります。洋上風力の海域は広大です。そのためいかに効率的かつ経済的に必要とされる情報を得て、その情報をもとにどのように海底を評価するかの技術力が問われるのです」
洋上風力の海底調査では、計画、解析、工程管理、物理探査、海上ボーリング、土質試験など、複雑で多岐にわたる。こうした新しい技術も取り入れながら、最適なソリューションを提供する。
海底に設置する微動計

















