新年早々に発災した能登半島地震。エネルギーインフラは関係者の努力で維持された。
石川県をはじめとした北陸地方の石油・LPガス業界関係者から現地で当時の様子を聞いた。
2024年元日夕方、能登半島を震源とするマグニチュード7・6の地震が襲った。中でも、半島北部に珠洲市や輪島市は甚大な被害を受けた。
ハイオクを値引き販売 一般車は給油制限も
石油業界では、発災直後から資源エネルギー庁、石油元売各社と石油連盟事務局が24時間体制で北陸地域に向けて緊急で燃料供給に対応した。北陸地域における出荷基地被災状況などを情報収集。さらに、石川県からドラム缶での燃料配送要請を受けたことから、政府、石川県庁、石川県トラック協会などとの連携で、1月3日から石油元売りの出荷基地から燃料の入手が困難な被災地に向けてドラム缶出荷を実施した。また、政府・自治体の支援を受け、元売各社は販売業者とも連携し、能登半島北部への配送拡大に注力した。

販売では、多くのガソリンスタンド(SS)が閉店し、1月7日のピーク時に32件が営業不可となったが、31日には七尾市、志賀町、穴水町、輪島市、能登町、珠洲市の69店舗のうち、営業停止SSは11件まで減少した。
穴水町の幹線道路沿いにある舞谷商店では発災直後、道路が歪み、マンホールが飛び出るなどしたほか、大津波警報が発令されたことなどを受けて、「標高4~5mにある店舗を運営できる状態ではない」と判断。店を閉めて高台に避難した。警報が止んだ後は、SSに戻り設備を確認した。結果、レギュラーガソリンの地下タンクに水が入っていることが分かった。他のタンクは無事だった。電気についてはSSに発電機が用意されていたが、避難先から戻ると復旧していたという。
こうした中で、2日午前中に営業を再開した。店の前は開店直後から長蛇の列ができたという。レギュラーが販売できないため、ハイオクの価格をレギュラー並みの1ℓ当たり10円引きでレギュラー車にも販売していくことにした。舞谷昭弘社長は「ハイオク用タンクはレギュラーに比べて小さいのですぐになくなってしまう。当店は中核SSなので、緊急車両に給油しなければならない。元売りと連携して、毎日運んでもらった。それでも綱渡りの営業となった。正月だったため帰省客も多く、そうした人たちを含めて列ができたと思う。ただ、中核SSの役目を果たすため一般車両は2000円の給油に制限させてもらった」と振り返る。
七尾ガスターミナルが被災 北陸地方のガス供給が停止
LPガスでは、今回の地震で北陸3県の唯一の輸入基地であるENEOSグローブ「七尾ガスターミナル」が被災したことが大きな影響を与えた。
同社は発生直後から社長、役員、関係部門長がオンライン対策会議を開催し、安否確認や被災状況の情報収集にあたり、4日には社長を本部長とする「災害対策本部」を設置した。安定供給の使命の下、奔走したという。しかし1月末まで輸入船受け入れ配管、敷地内・周辺道路の損傷のため出荷停止となった。

そこで、同社グループの輸入基地「新潟ガスターミナル」(新潟県聖籠町)からアストモスエネルギーの2次基地「金沢ターミナル」(金沢市)へ、内航船によるピストン輸送での出荷体制を整えた。日本LPガス協会会員の間で締結していた「災害時におけるLPガス供給に関する相互支援協定書」による連携が機能した。このほか、四日市エルピージー基地からも調達できるようにした。
LPガス供給において最も懸念されたのが、需要家への安定供給だ。家庭向けは軒先在庫があるため、次回のボンベ交換時期まで余裕がある。工業用途向けはそうはいかない。被災地以外の北陸地域には平時に近い形で供給が求められる。また、こうした需要家が被災地に必要な食料や物資などを供給しており、それを止めないためにも供給継続が不可欠だった。
富山市の日本海ガスでは、1月に代替基地から調達。2月からは七尾のタンク内在庫による出荷で通常の半分から3分の1程度を賄い、足りない分を継続して新潟などから調達した。
都市ガス会社からの応援もあった。東海地区の4社が、太平洋側で積んだLPガスを充てん所まで輸送するなどの協力を得られたという。山本健太・LPガス事業本部広域営業部長は、「繁忙期なのに、1台2人態勢で人も物も出してもらった。1月に300t程度供給を受けることができた」と感謝する。

配送に関しては、グループの配送会社とLPガス充てん所との連携を徹底した。特に充てん所の残量が圧倒的に少ないため、1日単位で数量を打ち合わせ、ぎりぎりで管理した。加えて卸売りと協議し、通常のエリア分担をやめ、より効率的に輸送できるように相互配送を行った。
2月下旬には、七尾にLPG船が入港できるようになった。3月以降は通常稼働となり、オーダー通り出荷されるようになったとのことだ。
















