インタビュー:田嶋 要/立憲民主党環境・エネルギー調査会長 衆議院議員
エネルギーを巡る諸問題が国民生活に影を落とす中、今後の政策はどうあるべきか。立憲民主党の田嶋要・衆議院議員は、省エネの推進と再エネの導入加速の必要性を訴える。
参院選とエネルギー政策
国政選挙において、これまでエネルギー問題はなかなか争点化しませんでしたが、電力・ガス料金が高止まりし生活に大きな影響を与えている中、国民の関心は相当高まっているのではないでしょうか。立憲民主党は、2030年5割、50年100%と、政府・与党よりも高い再生可能エネルギー発電比率の導入目標を掲げ、原発に依存しない自然エネルギー社会を作る方針はぶれていません。ところがこの10年、政府の施策はあいまい、不十分なことばかりで、結局、再エネ、省エネは中途半端、原発は動かず火力発電の大量退出を招いてしまいました。政策の失敗により、日本は先進国からだいぶ差を付けられてしまいました。
原発再稼働
政府・自民党はこれまで、原発問題の争点化も避けてきました。今の厳しい電力需給を背景に、審査中の原子力発電所の再稼働を進めようという動きが出ていますが、あくまでも安全規制に基づく規制委員会の合格と、実効性のある避難計画の策定を前提とした地元合意がなければ認められません。
料金高騰対策
燃料調達価格の高騰と円安の影響により、燃料費の変動を反映する燃料調整費は天井を打っています。燃料コストを回収できない事業者にとっては大きな打撃ですし、料金が高止まりし消費者にも重い負担を強いています。国民が苦しんでいる時に、期せずして税収増になる消費税負担も問題です。党として6月10日、ほかの野党3党とともに来年4月以降当面の間、消費税率を5%とする法案を提出しました。私は、生活に欠かせない電気・ガス料金は、暫定的に税率を0%にしても良いくらいだと考えています。石油元売りへの補助金のようなエネルギーを使用することに伴う負担増への支援に加え、省エネ機器や住宅の断熱性能を高めるなど、消費抑制につなげる施策への支援も不可欠です。
夏・冬の電力危機
これを機に、化石燃料になるべく依存しない社会へと転換を図るべきです。そのためにまずは、省エネを徹底しなければなりません。手を付けていない省エネの工夫はまだまだ無数にあり、エネルギー消費量を減らす余地は産業・運輸部門でも家庭部門でも大いにあります。また、今の苦しい状況は再エネにしっかり取り組んでこなかったことも要因です。省エネを進め、どうしても必要なエネルギーを地産地消を中心とする再エネに置き換える取り組みを、国民運動として推進しなければなりません。
炭素税・排出権取引
炭素税のポイントは、増税を目的としないことです。CO2を排出する、排出しないに着目した税体系に再設計することで、社会全体が炭素の排出量を減らすために取り組みやすくする制度でなければなりません。排出量取引は、東京都と埼玉県で実施し成果を上げているにもかかわらず、国の動きはあまりにも遅すぎます。早急に制度化を目指すべきです。

たじま・かなめ 1985年東京大学法学部卒、NTT入社。米ペンシルベニア大学ウォートン・スクールにてMBA(経営学修士)取得。2003年衆院当選(千葉1区)。10年経済産業大臣政務官、原子力災害現地対策本部長などを歴任。当選7回。