約10年前、原子力規制委員会が開いた有識者会合の指摘に端を発し、日本原子力発電・敦賀発電所2号機の審査の停滞を招いた活断層問題。書類の書き換え問題を経て、昨年8月末に原電が補正書を提出後、審査が再開されたが、規制委は5月31日、焦点である原発敷地内のK断層の「活動性」について厳しい見解を示した。

提供:日本原子力発電
原電が各種分析結果を踏まえ後期更新世(12万~13万年前)以降の活動がないと評価したK断層について、規制委は「活動性は否定しきれない」とし、また、評価を行ったD―1トレンチなどについては「活動性を否定する地点として妥当とは言えない」と言及したのだ。
規制委は「補正書のK断層の活動性に係る説明が終了した」との認識を示している。ただ、原電は同日、引き続きK断層の活動性に関わる追加調査に取り組む意向を示しており、審査の継続を求めた。
また規制委は6月6、7の両日、K断層が原子炉建屋直下まで続いているか否かという「連続性」に関して、現地調査を実施した。原電側は7月中旬に、これまでの規制委のコメント全てに回答すると表明。規制委は、今回の現地調査のラップアップの審査会合を6月中に行った上で、7月末の審査会合で最終判断を示すとみられる。
多数の証拠を提示 K断層の深さの調査も必要
ただ、有識者からは「審査では議論がかみ合っていないとの発言があり、K断層が副断層と呼ばれる地層表層のみのヒビかどうか調査が必要で、拙速な判断は避けるべきだ。調査なしで拙速な判断を下すと、岸田政権が掲げた原子力の最大限の活用に反する判断ミスになりかねない」(奈良林直・東京工業大学特任教授)といった指摘も挙がっている。
これまで原電は、活断層であることを否定するため、さまざまな証拠を提出して説明を重ねてきた。一方、規制委側が求めるのは明確な根拠であり、認識の食い違いも随所で見られている状況だ。
例えば、論点の一つであるK断層を覆う地層の堆積年代評価。最新の測定手法である光ルミネッセンス法によると、「13・3万プラスマイナス0・9万年より古い」という測定結果が示されたことから、規制委は、誤差を考慮すると、活動性を否定する評価とは矛盾すると指摘していた。これに対して原電は、火山灰分析などと併せて評価すれば、13万年前より古い層であると説明している。
仮に今回、新規制基準に適合しないと判断されれば、審査により廃炉を迫られる初のケースとなる。審査の効率化が求められるとはいえ、このまま重大な判断が示されることになるのか。そして有識者会合の指摘に端を発したこの議論が、いかなる結末を迎えるのか―。本件の行方に、関係者の視線が注がれている。


















