プロパンガスの不透明な料金体系や商慣行の放置は、業界の将来にも影を落とす。業界体質を改め、消費者に信頼されるエネルギーの担い手となることが求められている。
家庭のエネルギー供給インフラとして欠かせないプロパンガス。特に、都市ガスが行き届かない地域においては、今後もなくてはならない存在であり続けることに変わりはない。その一方で、不透明な料金体系や商慣行を長く放置してきたことが、消費者不信を招いているという一面も。あるプロパン業者の幹部は、「このままでは業界そのものが消費者に見限られてしまう」と危機感を募らせる。
それも無理はない。ただでさえ、約1万6千社あるプロパン業者の6割が小規模事業者であり、全国津々浦々までガスの供給を担っているのも彼ら。それにもかかわらず、オール電化など他のエネルギーとの競合に後継者不足も相まって、毎年300~500社が廃業、普及率も低下の一途をたどるなど業界は衰退著しい。
こうした中、プロパンの料金透明化と取引適正化について検討する総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)液化石油ガス流通ワーキンググループ(座長=内山隆・青山学院大学教授)が3月2日、7年ぶりに議論を再開した。7月までに計3回の会合を開き、現行の商慣行を見直すとともに、制度改正も視野に議論するという。
不透明な料金を問題視 三部料金制の効果薄く
電力、都市ガスの小売り全面自由化に触発される形で2016年に発足した液石WG。もともとプロパンは自由契約とはいえ、①戸建て住宅の消費配管やガス機器などを事業者の負担で設置し、ガス料金で利用者から回収する「貸付配管」や、②事業者が賃貸集合住宅のさまざまな設備をオーナーに無償提供し、その費用を入居者に転嫁する「無償貸与」―といった商慣行が、不透明で割高な料金と利用者の自由な選択の妨げの要因になっていることは、これまで幾度となく問題視されてきた。
17年に制定された取引適正化ガイドラインでは、事業者が利用者に貸与している設備がある場合、基本料金と従量料金とは別建てて設備使用料を算出する「三部料金」制により、料金の透明性向上を図ることを定めているほか、業者を選択する権限のない賃貸集合住宅への入居者に対して、家賃とは別にガス料金や設備代金の負担がどの程度になるかをあらかじめ提示することを求めている。
