再生可能エネルギーに絡む特大スキャンダルが永田町を襲っている。日本の洋上風力開発を巡って自民党の秋本真利衆議院議員が風力発電事業者から、2021年以降複数回にわたり多額の資金提供を受けていた疑いで、東京地検特捜部は8月4日、秋本議員の事務所に家宅捜索を行った。秋本氏は同日、外務大臣政務官の辞表を提出した。
自民党再エネ派急先鋒を自称する秋本議員は2017年に国土交通政務官として19年4月に施行した再エネ海域利用法の作成に関与。日本風力開発からの資金提供は、再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電の入札公募に便宜を図ってもらう狙いがあったとみられている。
実際に秋本議員は、公募第1弾で中部電力・三菱商事グループが3カ所全てを落札した結果を踏まえ、22年2月の予算委員会で「運転開始時期に対するウェートづけを見直すべき」だなどと、入札の評価基準見直しを要求。その後、評価基準の見直しが実現した。捜査関係者は、日風開の資金提供と秋本議員の国会質問の時期が一致するといった関連性から、収賄・贈賄容疑の適用にあたる可能性を示唆している。
一連の疑いに対し、日風開側は資金提供を認めたものの、贈賄性は真っ向から否定。「秋本議員と競走馬の共同購入資金に充てた。違法性はない」などとするコメントを出している。秋本議員側にも取材を申し込んだが、4日時点で連絡がついていない状況だ。
洋上風力政策に介入 周辺へも〝火の粉〟拡大か
また、秋本議員は自民党内で「再生可能エネルギー普及拡大議員連盟」の事務局長を務めていた。議連の会合でも、入札条件の見直しを求める声が噴出しており、永田町関係者の中には「同議連の中心人物だった柴山昌彦元文部科学相、小泉進次郎元環境相、河野太郎デジタル相、さらには元首相にも〝火の粉〟が降りかかる可能性がある」と見る向きもある。
なお、入札条件を巡っては、日風開子会社のエネルギー戦略研究所が参加する京都大学大学院「再生可能エネルギー経済学講座」の講師陣の一部が再エネ議連の会合に参加し、見直しの検討に関わった経緯がある。「今回の問題が、回りまわって京大の再エネ派グループに波及しなければいいが。再エネ拡大・脱原発の旗を振ってきた自民党内勢力や学識者のプレゼンス低下が起きないことを祈るばかりだ」。再エネ関係者はこう不安を募らせている。